映画『ダウントン・アビー Downton Abbey』 (2019年英)

映画『ダウントン・アビー』を見た。大ヒットドラマの続編映画は往々にして期待外れということが多いが、この映画は期待を裏切らない。さすがジュリアン・フェロウズ(脚本家)というしかない。

私が見たのは字幕版。レディースデイの午後1時台の回だったからか、女性ばかりで満席に近い状態だった。途中で何度か笑い声が漏れ聞こえてきた。映画館では珍しい。観客はテレビ感覚(?)で見ているのか。特にモールズリーさんが大失敗するところでは、くすくす笑いがあちこちで起こった。

映画版の特別キャストに、イメルダ・スタウトン Imelda Staunton が出る。 執事カーソン役ジム・カーターの実生活における妻である。ハリーポッターシリーズでピンクの服ばかり着ている魔法省の役人アンブリッジ役で知られている。今回の彼女の役どころは、王妃の女官でロバートの従妹。財産相続のことでバイオレットと確執があるというもの。アンブリッジが本当に感じの悪い役だったので、もうこの人が出てきた時点で拒否反応が…。バイオレットが突然マクゴナガル先生に見えてしまったり…。

個人的にはメアリーとマシューが結ばれるシーズン2ぐらいまでが好き。ブランソンとシビルのカップルも素敵。どちらも悲しい結末が待っているだけにそれまでの幸せそうな部分が際立つのかも。

映画では、シビル亡き後、一人で頑張ってきたブランソンにいよいよ春が来そうな予感。デイジーもそろそろ結婚への一歩を踏み出す。トーマスにもちょっといいことがある。よくこんなにたくさんの登場人物すべてに的確なエピソードが用意できるなぁとひたすら感心。

メアリーの祖母バイオレットと母コーラ、義母イザベルのやりとりはいつもながらひやひやするが、おもしろい。イザベルは知性的でリベラルな自立した女性で、身分や権力に屈しない姿勢がとても気持ちいい。 Penelope Wilton が演じている。映画でもさすがと思わせられるシーンがあった。

ダウントン・アビーではどうも男性たちより、女性に目が行く。さまざまな年代の立場の異なる女性たちが20世紀初頭という時代をどう生きていたかがとても生き生きと描かれている。どんな女性を目指しつつ年齢を重ねていこうかと目移りしながらドラマを追う自分がいる。

今回映画を見る前にシーズン1と2を見返してみた。初めて気づいたのは、従者ベイツの妻、ヴェラ・ベイツがアウトランダー Season4 に登場するジョカスタ役の Maria Doyle Kennedy だったこと。アウトランダー4で見たときは、どこかで見た顔だと思ったが、まさかダウントン・アビーに出ていたとは…。はっきりした顔立ちで、強い女が似あう。ヴェラは特に策を巡らす狡猾そうなタイプ。アウトランダーのジョカスタ役では目が見えない設定だが、あなどれない雰囲気を出している。元歌手らしいが、なかなか迫力のあるいい役者だ。

そういえば、デイジー役の Sophie McShera が『シンデレラ』の実写版でいじわるなお姉さん役で出ていて、びっくりしたのを思い出した。ダウントン・アビーでローズ役のリリー・ジェイムスがシンデレラ役だったのだが、デイジーがローズをいじめるなんて、ちょっとイメージが違いすぎて、変な感じだった。でも、いろいろなキャラクターを演じられるのが俳優のすごいところ。これからもいろいろな役に挑戦してほしい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です