ビジネス日本語:留学生の会話力の弱さ

今年度からビジネス日本語を担当している。最近は学部留学生への日本語授業ばかりだったので、アカデミックな日本語の習得を目指していた。それがいきなりビジネス日本語と言われ、少々困惑しながら、様々な教科書に目を通し、試行錯誤を繰り返した前期がなんとか終わった。 “ビジネス日本語:留学生の会話力の弱さ” の続きを読む

エッフェル塔と東京タワー

フランスからの学生を相手に2000年頃サマーコースを教えていたころのことである。

「パリにあります。とても有名です。背が高いです。」で答えを考えるようなクイズをしていたときだろうか。クラス中の学生が La tour Eiffel を日本語で何というのか、どうしても知りたくなってしまった。 “エッフェル塔と東京タワー” の続きを読む

温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』の「ママ語」

温又柔の『台湾生まれ日本語育ち』では、台湾人である自身の母親が話す日本語・北京語・台湾語がちゃんぽんになったことばを「ママ語」と言っている。

子どもの頃はお母さんの日本語には変なところがいっぱいあって恥ずかしいと思っていたらしい。成人した今では、そういう日本語も含め、北京語に台湾語が混じるママ語を愛しくてたまらない、母親独自の言語と捉えている点に共感した。 “温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』の「ママ語」” の続きを読む

日本語学習者の間でだけ通じてしまう「ジンリョク(人力)」とは?

この一週間やたら「ジンリョク」ということばを聞かされた。

介護労働力不足の解決策について議論する際、韓国語母語話者の学生がジンリョク、ジンリョクと連呼しながら熱弁をふるった。

ジンリョクの不足を補うためには、給料を上げる必要があります」
ジンリョクの確保のために必要なのは、お金だけではありません」 “日本語学習者の間でだけ通じてしまう「ジンリョク(人力)」とは?” の続きを読む

閩南語と北京語の切換えの不思議―陳竹昇@台湾名人堂―

2017年12月24日放送の《台湾名人堂》(台湾のインタビュー番組)に出演している陳竹昇を見た。

《阿莉芙》(2017)という映画に女装して出て、金馬奨で助演男優賞を受賞したらしい。細くて小さい体つきにくりくりした好奇心満々の眼が印象的である。 “閩南語と北京語の切換えの不思議―陳竹昇@台湾名人堂―” の続きを読む

「高所得者層は余裕で生活している」

学部留学生のレポートに現れたこの表現。

努力家の真面目な学生が書いたレポートで、テーマは『子どもの貧困』。

若者独特の俗語が、注意深く整えられた堅めの書き言葉が居並ぶ文体の中で、異様な匂いを放っているのが、私にはとても興味深く思えた。 “「高所得者層は余裕で生活している」” の続きを読む

「世代」と「世帯」:中国語母語話者には同音異義語?

子どもの貧困についてレポートを書く課題を出すと、一人ならず「世代」と「世帯」を打ち間違えてくる中国語母語話者がいる。

意味がわかっていないわけではないと思う。

「せだいsedai」と「せたいsetai」は有声無声のミニマルペアだから? それも大きな理由の一つだが、もう一つ理由があると私は踏んでいる。 “「世代」と「世帯」:中国語母語話者には同音異義語?” の続きを読む