日本語の「マッチョ」に対する評価

「マッチョ」ということばをフランス語で聞いたとき、違和感を感じた。

Il est macho.(彼はマッチョだ。)

と言いながら発話者が指していた「彼」は、ガリガリのやせっぽっちだったから。彼はどうみてもマッチョじゃない。なぜ???

しかも、状況から考えて「macho」は誉め言葉ではなく侮蔑を含んでいた。

辞書を引いてみると、スペイン語起源で「男らしい、男っぽい」としか書かれていない。これだけではいかんだろう!と思う。

日本語では「筋肉隆々の男性」を指して言うのに対し、フランスでは「保守的で男尊女卑の思想を持つ男性」に使われていた。うかつに「よく鍛えてるね」というつもりで「macho」ということばを使ってしまうと、差別主義者だと非難したことになってしまう。

しかし、日本語の「マッチョ」も誉め言葉かというと少々微妙である。

ある中国の女子留学生が2014年のある日にこんな発言をした。

日本ではがっしりした体つきの男性よりやせた男性の方が女の子たちに人気がある。

そして、ある細身の中国人男子留学生の実名を出して、彼は中国ではけっして人気のあるタイプではないが、日本では「かっこいい」と言われていておかしいと言ったのである。

これはおもしろいと思った。私も少し似たようなことを感じていたからである。台湾ドラマを見ていても男性たちはやたら筋トレをして筋肉質を目指しているのだが、日本ではそこまで筋肉質を良しとしていないように思う。

2014年当時に比べると2018年の今は筋トレの重要性が大いに説かれ、せっせと筋トレに励む人が増えている。しかし、筋トレして筋肉ムキムキになれば、モテるかというと疑問だ。恐らくちょっと変わった人という評価になる。

韓国や台湾など徴兵制のある地域では兵役に行ってしごかれるからか筋肉質の肉体を目指すようになるのだろうか。それとも、単にアメリカなど欧米の影響か。

いや、男性たちが筋肉質な身体を求めて努力するのはいい。問題は日本の女子たちが筋肉質の男性を好まないことではないか。

その最たる原因の一つとして思い当たったのがジャニーズ事務所である。幼い少年たちを集めてアイドルにしているから、筋肉オタクに対する嫌悪感が芽生えるのではなかろうかと考えたりする。

雄であること、「男らしさ」を前面に押し出すより、少年っぽい未熟さがウケる。これは、女性に関してもきっと同じで、峰不二子みたいな色気をふりまくキャラにはひいてしまう男性が多そうだ。かなり特殊な文化特性ではないかと思うのだが、だれか分析している人はいないのだろうか。

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