ICカードvs.回数券 こんな割引システムでICカードが普及するとでも?

私はキャッシュレス化に大賛成だ。多額の現金を持ち歩くのも、銀行のATMに並ぶのも大嫌いで、ネットバンキングを愛用している。財布が小銭で重くなるのも嫌なので、スーパーでは頭をフル回転させて極力小銭を出す。

これだけクレジットカードや電子マネーが普及しても、常に一万円ぐらいは現金を持っておかなければならない。私の財布から現金があっという間になくなる二大原因…それは、交通費と米代だ。

ここでは特に交通費について述べたい。

何年も前からICカードを持ちたいと思っている。回数券を何枚も駆使するのは一刻も早く辞めたい。二か所の職場に通うのに7種類の回数券を買っている。加えて土日回数券、子ども用、京都と大阪の市営交通回数カードなど、たまにしか使わないものも入れると15枚以上を管理している。

2018年9月30日、JR西日本の「昼間特割きっぷ」がいよいよ販売終了となった。時を同じくして、阪急電鉄の回数券もバラ売りがなくなり、回数カードに一本化された。二人以上で使用する場合など切符に交換できるが、交換当日のみ有効というルールに変更されたそうだ。

関西の鉄道各社もいよいよICカード普及に本腰を入れだしたと見える。まずは金券ショップにバラの回数券が出回るのを阻止しようというのである。

しかし、根本的な問題が解決されていない。ICカードの割引率がまだまだ回数券に届いていないことである。回数券は3か月で11枚使えば1回目から割引が受けられるのに、ICカードは1か月で11回以上乗らないと割引が受けられない。しかも、11回目以降が10%引きになるのであって、10回目までは切符を買って乗るのと同額である。

関西私鉄の大人用回数券には時差回数券や土休日回数券というさらに割引率の高い回数券が存在している。阪急電鉄には、時差回数券と土休日回数券に「ハーフ」という3か月で6枚か7枚使えばよいという回数券まである。

例として、1週間に1回220円区間を往復する場合を考える。行きは朝の通勤時間帯だが、帰りは午後4時までに帰宅するとする。

週1回往復だと仮にその月その曜日が5回あったとしても、1か月で10回しか乗らない。11回目から割引が開始されるICカードだと何の割引も受けられず行きも帰りも220円で乗ることになる。

だが、回数券だと通勤時間帯の片道週1回でも3か月で約12回乗ることになり、朝は普通回数券(1回200円)を使い、帰りは時差回数券(1回184円)を使うことができ、1回目の乗車から割引の恩恵にあずかれる。1日の交通費がICカードだと440円のところ、回数券を使用すれば384円で済み、56円の得となる。

たった1日でこれだけの差が出るのなら、どんなに複雑でも回数券を駆使する人が出てくるのは当然だろう。

私のように曜日によって行く先の異なる人間が、いくら便利さを理解していてもICカードに踏み出せない理由がご理解いただけただろうか。

しかしながら、鉄道会社の皆さん。私がこんなことを詳しく説明してしまったばっかりに、回数券の有効期限を1か月にするというような暴挙に出るのだけはやめてほしい。

ICカードの割引率を上げて明るいキャッシュレス社会へ踏み出そうではありませんか。

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