3歳ぐらいまでの子どもの発話にはいろいろと興味深いものがある。
1~2歳くらいの頃は、初めの音だけ、最後の音だけで済ませることが多い。
息子は「カンガルー」を見ても「みかん」を見ても「カン」と言ってた。
「プレゼント」のことは長らく(3歳を過ぎても)「プジェレント」と言っていた。「☓☓プラザ」を「☓☓プジャラ」とも言っていたので、どうも「ラ行+ザ行」の組み合わせが苦手で反転させてしまうようだ。
息子は比較的早くに幼児特有の話し方を手放してしまったので、唯一残ったこの言い方を聞くとずいぶん心が和んだものである。
娘は3歳を過ぎても「スパゲッティー」を「スパベッピー」と言っていた。子音の調音点を変化させるのがおぼつかず、2音節目で「パ」と言ったついでに、後半はすべての子音を両唇音で代用…。このぐらいの長さの語で、母音とリズムが合っていれば、何を言っているのかはわかる。考えてみると、有声無声の特徴も残っている。
忘れられないのは、2歳になる前の娘の発言。娘を自転車の後ろのシートに座らせてスーパーへ向かっていたとき、「今日は何を買おうか」と娘に話しかけていると、後ろのシートから立ち上がって「あらげ! あらげ!」と大興奮で連呼する。
「『あらげ』って何?」と私。
娘のキラキラした目を見て、思い当たったのは…
「からあげ」
そういえば、その何日か前に唐揚げをおいしそうに食べていた。「そんなに好きなの?」というような会話をしたような。
それにしても、なんという音の捉え方だろう。
当時「からあげ」の最初のkの音はまだ発音できなかったのかもしれない。「おかあちゃん」と言えず、「ちゃーちゃん」という子は多い。「おとうちゃん」が言えるようになっても、娘は「おかあちゃん」はなかなか言えなかった記憶がある。
それでも、自分の意志をきちんと伝えることができた。なぜか食べ物の名前ばかり訴えたがる食い意地のはった娘であるが、このパワーが子どもの発話力を伸ばしていくのだろう。