釈然としない脚本:《前男友不是人》最終回 

見終わっての正直な感想は、脚本が弱いということ。撮影しながら脚本を作って行ったドラマはたいてい釈然としない点がいくつも出てくる。

よく練られた脚本だと、張り巡らされていた伏線のつじつまがきれいに合い、見終わったときに爽快感を感じるものだ。

まず大きなものを二つ挙げておくと、


当初、戴海安(藍正龍)はネットショッピング界の有名人だったはずなのに、ドラマ後半ではただの人のようになっている。一度だけ写真を撮らせてくれと言われていたことがあったが、有名人だという点がドラマの後半に何も生かされていなかったのが残念。


原作《前男友是鬼》からとったのは、前半のみなのだろうか。後半はめったに高校時代の戴海安が現れなくなり、なんだか別のドラマになってしまっていたような。

ウィキペディアの説明によると編劇(脚本)の欄にこんなにたくさんの人の名が挙がっているのだ。

編劇:
楊宛儒 楊碧鳳 吳美枝 連凱鴻
協力編劇:
海裕芬 李玟億 楊慧娟 陳裴瑤

誰かが責任を持って、整合性や一貫性を管理するべきだと思う。

だが、このドラマで深く考えさせられたのは許聖仁(薛仕凌)と陳大發(海裕芬)同居である。どちらも男女主人公の親友という設定で高校時代からの友人である。

ただ、子どもが欲しいから女性の友だちと同居して子どもを産んでもらいたいと思うゲイ…なんているのだろうかと思ってしまった。陳大發を愛することはできないが、子どもは欲しい…。まだ若いのに許聖仁はなぜ本物のパートナーを探そうとしないのだろう。

劇中、新しいマンションを探していたとき、お隣の男性に一目ぼれするところがあるのだが、その後、許聖仁とは発展することもなく…。

このお隣さん、どこかで見た顔だと思ったら2014年の映画《等一个人咖啡》の主役、阿拓を演じていた布鲁斯(現芸名 禾浩辰)だった。相変わらず印象に残る顔だ。

最終的には、陳大發とこのお隣さんが出会って結婚し、子どもができる。許聖仁が陳大發の幸せを望むだろうということから、この展開はなんとなくうまく収まってはいる。だが、やはり少々無理があると思うのは私だけだろうか。

それを言うなら、戴海安と鍾書盈(李杏)の関係とか、周立陽(路斯明)の経歴とか、なんだか不可解な感覚が尽きない。ドラマのキャラクターの動き方や考え方に説得力を持たせるには相当の技量が要るということだ。

せっかく素晴らしいキャストだったのに。残念だ~!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です