ビジネス日本語:留学生の会話力の弱さ

今年度からビジネス日本語を担当している。最近は学部留学生への日本語授業ばかりだったので、アカデミックな日本語の習得を目指していた。それがいきなりビジネス日本語と言われ、少々困惑しながら、様々な教科書に目を通し、試行錯誤を繰り返した前期がなんとか終わった。

『ビジネス日本語 All in One 問題集』という教科書をメインに使用し、ビジネス会話の聴解、ビジネス文書やメールの読解、ビジネス会話、メールや文書の作文を行った。そのほかにも求人広告研究、キャッチコピー、業界研究などについても調べてもらい発表してもらった。メールを書く宿題はほぼ毎週のように課し、添削の際、気になった要点を授業で解説した。

そして、前期期末試験を実施したところ、判明したのはとにかく会話ができないということだった。読解や聴解は非常によくできていて、教科書の問題は簡単すぎるという印象だったのだが、会話はやはり今学期あまり扱えていなった。

社外からかかってきた電話のロールプレイなのに、同僚の田中さんのことを「田中」と呼び捨てできない人が続出。敬語等の言い回しにも怪しげなものが多く、こんな人が電話に出たら、印象が非常に悪いのでは? と、反省するしかなかった。

来学期は会話に力を入れるべし。

2018年8月3日の朝日新聞の「声」欄に中国では褒められた日本語が日本へ来ると通用せず、「日本語がわからないんだったら、散髪できない」などと言われた話が載っていた。

褒めて育てるなどと言って間違いを放置しておいては彼らがあとで苦労する…。

しかし、90年代に比べると、現在は日本国内でも留学生のアルバイトを含め、外国人の雇用が進み、ある程度彼らの日本語が受け入れられ始めていると感じる。だが、一方でまだまだ外国人の日本語に触れたこともない人たちも依然として存在していて、そういう人たちは彼らが言おうとしていることに関して想像力を働かすということができない。

不幸な出会いが極力減るよう、留学生の会話力を伸ばすよう努力すべきなのである。

私自身、ドラマの中国語は理解できるが、中国語を使って仕事をしろと言われるとやはりできないと思う。電話一本満足にとれる自信がない。

ビジネスに限らず会話は場数を踏むことが大切である。やはりそういう会話をする機会を増やさなくては。

来学期はシラバスを見直すことにしよう。

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