これまでミュージカルを見に行くという習慣がなく、一度も見に行ったことがなかった『キャッツ』。映画版はあまり評判がよくなく躊躇していたのだが、ついに重い腰を上げることに。なんとしてでも見なければと思った理由はただ一つ。2019年2月にロンドンまでロイヤルバレエを見に行った際、生 Steven McRae スティーブン・マックレーを見損ねたからだ。
2018年11月1日朝、一般予約開始日に満員電車にもまれながら、わざわざマックレーと高田茜コンビの回を予約したロイヤルバレエの『ドン・キホーテ』。それなのに、何週間か前になって配役変更。マックレーは映画『キャッツ』に出演するため降板。代役は Alexander Campbell。キャンベルが悪いわけではないが、やはり生でマックレーのバレエが見たかったのだ。
さて、「この映画のせいで~!」と思いながら、見に行った『キャッツ』。舞台で評価が高いだけのことはあると思った。特にボロボロのジェニファー・ハドソンが Memory を歌いだすと、涙があふれて止まらなかった。これが聞けただけで十分元を取ったと思った。
ミュージカルの動画でMemoryがどのように歌われているか見てみると、けっこう高いキーのが多くて驚いた。そして、映画のような演技は入っておらず、真剣に曲として歌っている感じ。ジェニファー・ハドソンのバージョンは映画だから、本当につらそうに途切れ途切れな部分も多かった。でもそういう部分があるから、よけいに泣けてしまうんだろうと思う。
日本語吹替え版はだれがどんなふうに歌っているのだろうと思って、動画を検索したら、これまたすごい人(高橋あず美)が歌っていて、全く見劣りしていなかった。劇団四季の歌詞は切れ目が変でわかりにくそうだったが、映画の吹替え版は歌いやすく、聞きやすい歌詞だと感じた。
肝心のマックレーのスキンブルシャンクスに関して言うと、完全にタップダンスの腕(足?)を見込まれての出演。バレエではなく。不思議の国のアリスの帽子屋は確かに素敵だが、タップだけじゃないだろう、マックレーは。ピルエットのシーンもあったが、最後は天にのぼって行って消えてしまうCGがついているので、どこまでがマックレーの技術でどこからがCG効果なのか、さっぱりわからず、残念至極。
フランチェスカ・ヘイワードは顔の可愛さは際立っていたが、バレエのシーンは脚のラインが毛むくじゃらのせいで見えにくくて残念。膝をピンと伸ばすと猫っぽくないのか、微妙に曲がった感じなのも残念だった。ダンスシーンに関してはCGを使うと一流の踊り手の良さが伝わりにくいように思えた。
舞台ではどういうセットなのかわからないが、映画ではロンドンの町並みが楽しめた。最初のシーンはピカデリー・サーカスだったし、ラストのライオン前のシーンはトラファルガー広場。テームズ河にうかぶ船からはタワーブリッジが見えたりして、去年行ったロンドンを思い出した。そういえば、ピカデリー・サーカスにミルクバーという店が実際にあったのを思い出した。Catsのこれだったのか~と思った。
名作と言われるものはやはり見ておくべきだというのが、今回の素朴な感想。機会があれば、劇団四季のミュージカルにもトライしてみたいものだ。