2012年英国映画『アンナ・カレーニナ』劇場風演出の妙!

今日で最後のNetflix。『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』に出ていたキーラ・ナイトレイがきれいだったので、『アンナ・カレーニナ』を見ることにした。

この映画は全体を舞台劇のように演出してあるが、幕が開く前にクラシック音楽がまるでオーケストラピットから聞こえて来るかのように流れだしたり、また、決まったリズムやステップが繰り返されるシーンがいくつか見られたりする点など、バレエ風の演出もされている。

監督はジョー・ライトJoe Wright。2005年の『プライドと偏見』で高い評価を得たという。『プライドと偏見』でも2007年『つぐない』でも、今回の『アンナ・カレーニナ』でもキーラ・ナイトレイを使っている。よほどのお気に入りらしい。

ダンスのシーンの振付を担当したというモダン・ダンスの振付家シディ・ラルビ・シェルカウイにも、興味を持った。クラシックにない不思議で複雑な振付だった。この人の振り付けたダンス作品も見てみたくなった。

劇場での演出は次々と場面やアングルが変わって行くのも興味深いし、突然野外になったりする場面も新鮮でよい。アンナ(キーラ・ナイトレイ)がブロンスキー伯爵(アーロン・テイラー=ジョンソン)と恋に落ちる舞踏会の場面は、周りの人が静止して、二人だけが踊っているかと思うと二人の動きをきっかけに背景の人々も踊り出したりして、なかなか巧みな演出がなされている。バレエでもよく背景の人々は静止したり、少し暗くなった影の中で動いていたりする。

道ならぬ恋に落ちる二人は画面の中で特殊な輝きを発していて、ほかの登場人物を寄せ付けぬ美しさだ。衣装もとても素敵だ。また、恋する二人のベッドシーンの高揚感も見ごたえあり。顔のアップが多用されていて、体は脚や腕など一部分しか映らず、露出はほとんどないのだが、それでも十分美しくエロティックだった。

アンナの年の離れた夫で国の重要なポストについているらしい、アレクセイ・カレーニン伯爵をジュード・ロウが演じているのだが、いつものオーラは片鱗も見せず、普通の真面目な中年男に徹している。だた、額の形にどうも見覚えがあり、まさかジュード・ロウ? と思ったらそのとおりだった。この魅力を殺した演技も実力のうちなのだろう。

ダウントン・アビーで伯爵家の長女メアリーを演じていたミシェル・ドッカリー、下僕のウィリアムを演じていたThomas Howes がちょい役で出ていて、うれしくなった。

アーロン・テイラー=ジョンソンは、この映画で初めて見た俳優だったので、少し調べたところ、19歳のときに23歳年上のサム・テイラー=ウッドという女性監督と結婚したそうだ。40代で2子を出産するのもすごいが、どちらも結婚するときには勇気がいっただろうなあと感心した。

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