『アウトランダー10 妖精の丘にふたたびⅠ』ダイアナ・ガバルドン

ドラマ『アウトランダー』のシーズン4の放送がHulu や AXN で始まっているらしいが、Netflixで見られるのはシーズン3まで。仕方がないので、この機会に小説を読んでみることにした。

媒体が動画から紙の書籍に変わると、動画では映像ですべて状況描写されていたものが、ことばによる説明になる。大きな差を感じたのは、18世紀の服装を描写する外来語が具体的に何を指すかわからないことである。

「綿のボディスは胸の谷間にへばりつく」p.11

「ボディス bodice」はおそらく女性が上半身に身につけるコルセットのようなもののことだろうと思ったら、どうも下着ではなく、アルプスの少女ハイジが着ていた赤のベスト(胸のところを紐を通してで締める)のようなもののことらしい。

「太い首に巻かれたストックの縁は垢で黒ずみ…」p.12

男性が首に巻いている白いスカーフのようなものらしい。ストックスという記述もあったが、英語のスペルがわからない。在庫のストックや株のストックに行く手を阻まれてしまった。

「彼が無意識にブリーチの前に手をやり、位置を直した」
ブリーチの前あきの紐を引っ張りながら…」p.23

この「ブリーチ」はどうもズボン状のものを指しているのではないかと思われるが、これも漂白する意味のブリーチに阻まれて、原語スペルにたどりつけなかった。

きっと最初から小説を読んでいれば、説明があったのだと思うが、シリーズ4作目ともなると当たり前のこととして話が進んでいってしまう。それでも、ドラマをシーズン3まで見てきた私はまだ服装のイメージが目に浮かぶが、小説を読んでいるだけだとイメージしにくかろうなと思った。

人名についてはだいたい人の顔が浮かぶので、今回は問題なしである。アイスランド人やスウェーデン人に比べるとスコットランド人の名前は耳になじんだものが多いので、ありがたい。

作者ダイアナ・ガバルトンはいったいどれだけの下調べをしたのだろう。アメリカ人ならスコットランドのことだって身近とは言えなかったはずだ。しかも18世紀の装束、文化など時代考証がなかなかたいへんそうだ。しかも、スコットランドだけでなく、フランスを始め、ジャマイカやアメリカにも船で行くのだから、相当当時の資料に当たったのではないだろうか。この小説を読むことで当時の様々な現実が理解でき、非常に興味深い。

今まで全く遠くの未知の世界だったスコットランドが急に身近に感じられるようになった。

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