Asphodel Meadows / 二羽の鳩@ロイヤルバレエ

ついにた来た! ロイヤルオペラハウス。いつも映画で見るのはこの場所なのかぁと感激もひとしお。

だが、意外と小さい。席と席の間隔が横も前後も思ったより狭い。私の席は前から3列目の中央。早めに席に向かったが、すでに2組の年配のカップルが3列目の私の席までに座っていた。日本だと立たずに前を通してもらえるが、ここでは皆さんお立ちになる。いや、荷物が通路に置いてあって、立たないとやっぱり通れない。

そして、「3列目だというのに」か「3列目だから」か前に座っている観客の頭で舞台の3割ぐらいが隠れてしまう。思った以上に舞台が低い。劇場で見るということの宿命か。しかし、新しいホールではこういうことは起こりにくい。伝統芸能だからか。大阪の国立文楽劇場を思い出す。

『Asphodel Meadows(アスフォデルの花園)』は、Liam Scarlettリアム・スカーレット振付。全く初めて見る。音楽も聞いたことがなかった。30分ほどのコンテンポラリー。ギリシャ神話の「冥界」に出て来る普通の人が死んだあと、向かう花園のことらしい。

メインキャストは以下のとおり。

Marianela Nuñez
Ryoichi Hirano
Laura Morera
William Bracewell
Meaghan Grace Hinkis
Luca Acri

本物のヌニェスと平野が目の前で踊っている~と必死で追う。男女の不思議なからみがおもしろい作品なのだが、中央に男性の頭、左にも右にも女性の頭があり、まるで山林の間から見ているような感じ。バックダンサーにまで目が届かない。2017年ローザンヌ国際バレエコンクールで3位入賞の中尾太亮が踊っていたことが舞台終了後に判明。全くノーマークだった。(T_T)

『二羽の鳩 The Two Pigeons』のメサジェMessagerの音楽は耳に馴染みやすくとても気に入っている。娘が発表会で踊ったことがあり、話は知っていると思っていたが、それはどうもパリオペラ座版だったようで、Frederick Ashton版は話が全くちがった。

主役の女性はGourouliグルリという名前でもないし、母親も出てこない。だが、なぜ「二羽の鳩」なのかがこの演出だとすごくよくわかった。肩を前後に動かしたり、胸を横にゆすったりする鳩の動きに似せた独特の振付が何度も出て来る。白い衣装の主役二人が「二羽の鳩」であることがわかりやすく示されている。最後には二羽の本物の生きた白鳩が登場して、演技らしきことまでしていて驚いた。

高田茜の演じる普通の女の子は画家のタマゴである男の子(James Hay)が本当に大好きで、かまってほしいがためにいろいろとお茶目なことをする。白い衣装がぴったりの単純で純粋な女の子。そこへ現れるジプシー(Mayara Magri)は成熟した女性の魅力を振りまく。この女性二人の掛け合いとなる場面では、高田茜の普通の女の子のかたいダンスとジプシーのしなやかなダンスの対比がおもしろかった。

その場面では足首をフレックスにして何度も女の子のかたさを強調していたが、実際の見せ場になると高田茜はやすやすと足先を伸ばし、伸ばすだけではなくこれでもかというほどきれいに反らしていた。さすがプリンシパル。

『二羽の鳩』にもLuca Acriがジプシー役でちらっと出てきた。今はまだキャラクター系にちらっとしか出てこないが、いい味を出している。金子扶生、前田紗江、佐々木万璃子、桂千里といった日本人ダンサーの名前もあり、今後に期待したい。

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