2018-2019年の年末年始の台湾旅行の最終地点は高雄。メトロの美麗島駅のステンドグラスは是非見に行こうと思ってはいたが、あちこちで《痞子英雄》の場面を思い出すことになった。
中央公園駅の近くのホテルだったため、そこを拠点に動いたのだが、公園の向かい側の出口ばかりを使っていて、公園に出るこの巨大なエスカレーターに滞在二日目まで気づかずにいた。悠遊卡Easy Cardにチャージをしに反対側の改札へ回って初めて「おー!」となった。
《痞子英雄》第4話で高義(王傳一)がメトロに麻薬dreamerを拡散させ、列車を乗っ取り暴走させるが、陳在天(周渝民)が中央公園駅の先で緊急ブレーキを使って、列車を停める。その後、高義はこのエスカレーターをのぼり逃走しようとするが、登りきったところで逮捕される、あの場面である。10年の時差があるにもかかわらず、芝生にささっている造花のひまわりまで同じで驚いた。
麻薬Dreamerの製作販売を手掛ける高義を演じた王傳一の演技は絶品だった。それまでいい人の役しか見たことがなかったから、危ない麻薬中毒者はとても新鮮だった。
Dreamerでラリった人々がうごめくメトロの車内は異様な雰囲気で見ごたえがあった。この場面は1995年の東京地下鉄サリン事件をヒントにしたのでないかと思った。
高雄2日目は駁二大義の方へ行こうと輕軌に乗った。夢時代という駅で見慣れたヤシの木の並木と巨大なショッピングセンターが目に入った。きっとここは呉英雄(趙又廷)と陳在天が銀行強盗(実は薩克奇)を追ったところだ。あー降りたい。でも、その日は帰国日でなんとしてでも微熱山丘Sunny Hillsに行ってパイナップルケーキを買いたかったので、泣く泣くあきらめた。
このドラマ、少なくとも3回は見直しているはず。そのときは込み入ったストーリーと登場人物の人間関係を把握するだけでものすごく時間がかかった。あれから5年ほど経っているかと思うが、今回は5話ほど復習しただけだが、以前のように中国語の意味を追うのに必死ということがないので、話の伏線や登場人物の心理にまで注意が向けられるようになったと感じた。細部まで鮮明にストーリーが見え、純粋にうれしい。
蔡岳勳監督のドラマは2006年《白色巨塔》のときもそうだったが、なんてたくさんの有名な俳優が出ているのだろう。テレビシリーズで終わらせるにはもったいないようなお金のかけ方、手の入れようだ。話が込み入っていて、社会派ドラマの中国語は難しいが、未見の人は是非見てほしい。