位子 wèizi と 对号入座 duì hào rù zuò

2018年12月29日から2019年1月3日まで台湾を家族で旅行した。台湾人の友人たちと中国語で話していて、少し気になったのは《位子 wèizi》ということばだ。新幹線に乗るというと《有没有位子?(席はあるのか)》と訊かれた。私は《有座位》とは作文できるが、《有位子》とは言えなかった。

車でいろいろな観光地へ連れて行ってもらったのだが、そのたびに駐車場を探さなくてはならない。台湾も12月29日から1月1日まで4連休でかなりの人があちこちに繰り出していたためだ。駐車場の開いているスペースを見つけようと彼らが発するのは、ここでも《有没有位子?》だった。《位子》は「座席」の意味だけではないようで、人や車の占める場所を指すようだ。

こういう意味なら、フランス語の une place がぴったり来る。

座席と言えば、「新幹線の指定席、自由席」と言おうとして《指定座》と言ってみたが、全く通じなかった。実際の新幹線には《對號座》と書かれていた。

《對號入座》の《對號》か~と妙に納得した。

たしか台湾ドラマ《我可能不會愛你》でだれのことを指しているかよくわからない噂を自分の彼氏のことだと真に受けて落ち込むというような場面があった。

Weblioの『白水社中国語辞典』の記述によると以下のとおりである。

对号入座 duì hào rù zuò
((成語))
1切符の座席番号に合わせて着席する.(中国では映画館・劇場は一般に座席指定制である.)
2他人の批判や文芸作品に描かれた人物をすぐ自分に結びつけて自分を批判したものであると考える.

自由席はほぼそのまま《自由座》で通じるのに、「指定座」は通じない…。こういうところがおもしろいのである。

「座席」(日)→《座位》(中)と覚えると、バカの一つ覚えみたいにそれしか使えない。日本にずっといてドラマで中国語を聞いているだけでは、なかなか実際の場面に即した使い方ができないのだということを思い知ったひとコマだった。

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