炭水化物を摂ると午後眠くなるのが嫌で、炭水化物を抜くダイエットをしていた。おもしろいように体重が減った。ただ、それ以上痩せてはいけないと諭してくれた友人がいて、おいしいものを一緒に食べに行こうと、2016年11月1日北山モノリスへ連れてくれた。
ここはもともと結婚式場として作られているらしく、素敵なお庭にガラス張りのチャペルまである。だが、その日は平日で、まだ紅葉にも早かったせいか、普通のレストランとして営業されていた。
季節のものが美しくあしらわれたお料理を、一面のガラス窓から手入れのいきとどいたお庭を眺めつつ、いただいた。ゆったりとした空間に丁寧な給仕も魅力的だった。そのひとときはことばに尽くせない贅沢な時間であった。
そこで味わった気分を是非味わってほしいと、2017年2月10日台湾から友人夫婦が来日してきた際にも北山モノリスへ案内した。その日は雪で、京都は非常に寒かったのだが、台湾からの客人たちは一面のガラス窓の外を舞う雪を大いに楽しんでくれた。
私たちは車を持たないので、京都の中心街からかなり離れた北山モノリスまで、叡山電車を利用した。出町柳から修学院まで4駅7分ほどだが、意外なことに台湾の友人たちはこのローカル線にも大興奮だった。そんなことまで喜んでもらえ、とてもうれしい気持ちになった。
さて、2019年8月お盆の真っただ中、家族の集まりで当日予約13:00開始のランチに滑り込んだ。京都へ向かう道中で予約したため、服装も普段着のままで行ってしまったのだが、北山モノリスのランチは相変わらずのクオリティーの高さで、もう少しおめかししてくればよかったと後悔した。
料理が中盤に差し掛かったあたりで、この会の大蔵大臣である母が「このお料理いったいいくらくらいするの?」と尋ねてきた。スマホでプランの写真と値段を見せると「これは値打ちある」と言ったのが印象的だった。
今まで家族の集まりでいろいろと京都の料亭やレストランを利用したが、値段や敷居ばかり高くて失礼なところもずいぶんあった。うちからは遠くて不便ではあるが、北山モノリスはまた行きたいと思わせてくれる数少ない店の一つである。