学部生向け作文授業を実りあるものにするために:2019年春学期の反省

5月の連休明けから休みなく続く、果てしなく長くて苦しい春学期(前期)がやっと終わった。今学期の大きな反省は、学生への要求度を上げ過ぎてはいけないということである。

いつも悩みの種は作文である。レポートを書かせるとついつい文法や語彙を厳しくチェックしてしまう。しかも、書式に構成、引用方法、文献リストの書き方…と突っ込み倒してしまうのである。レポートを一本見るのに30分以上かけてしまうこともざらである。

これは学生にとっても不幸だが、教師にとってもよいことは何もない。できていない点をあげつらうことよりも、きちんと期日までに提出したことを誉めるべきではないだろうか。

最近、学生との年齢の隔たりがじわじわと大きくなってきており、なかなか学生の立場に立ちにくくなっている。そして、私自身がこの授業を受けていたらどう感じるだろうかという視点が欠けてしまいがちだ。

2000字という長いレポートを日本語で書くのは彼らにとって初めての経験だったかもしれないではないか。とても自分の日本語力では手に負えないと思って、資料をいくつかコピペする道を選んだとしてもそれは仕方のないことなのかもしれない。

私自身、ごく最近、英語でシラバスを提出せよと言われて、コピペしまくったことがある。私が英語や中国語でこの授業に出ていたら果たして課題を提出できただろうか。…たぶんできなかっただろうと思う。

毎回の授業で課す課題と最終レポートのレベルに飛躍があったというのが実際のところだろう。教科書の課題はレポートの書き方を14回に分けて、序論・本論・結論へと追っていくタイプのもので、それほど難易度の高いものではない。

しかし、自由テーマで2000字のレポートにまとめるとなると、適切なテーマの選定からしてハードルが高く、時間がなくなってくると、当然ほかの授業で扱ったテーマを“再利用”するしかなくなる。やはり最初はテーマと資料をこちらで用意しておき、書くことに集中するというお膳立てが必要なのかもしれない。

来年からこの授業はレポートをやめてテストにしよう。その場で与えられた短い資料(グラフなど)を引用して自分の意見をまとめる。このほうが普段の課題と近く、学んだ技能との整合性も保てる。

この授業は学生たちの自信を打ち砕くためにあるのではなく、文章を書くことに自信を持たせるためにあるのだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です