英ドラマ『アウトランダー』20世紀の人間が18世紀で生きのびられるか

第1シーズン第7話までしか見ていないのだが、第2次世界大戦直後の時代を生きていたイングランド人の女性が18世紀のスコットランドで生き延びているなんて奇跡としか言いようがない。クレアはすごい。

2019年から1740年代を見るからか。クレアが従軍看護師でなかったら、また話は違ったかもしれない。第2次世界大戦時の修羅場をかいくぐって来たからこそ、血や死を恐れないし、どんな場所でも寝られ、何でも食べていけるのだろう。

18世紀という時代のスコットランドの劣悪な住環境、衛生状態、騎馬での移動、人々のモラルの低さ、男尊女卑…。現代という時代にも問題点は多々あるが、それでも18世紀と比べるとずいぶん進歩している。

しかし一方で、20世紀の技術が人間をひ弱にしてしまっていることも事実だ。電気なしで暮らさなくてはいけなくなったら、何日も身体を洗えなかったら、馬に何日も揺られて移動しなければならなかったら…。私がこんなふうにタイムスリップしてしまったら、あの環境には耐えられそうにない。

このドラマで丁寧に描かれているのが、「性」の問題だ。たとえ既婚者であれ、若く美しい女性が一人でいるということの不安定さがこの時代は特に大問題だということがよく表現されている。クレアが勇敢で有能で毅然とした態度でなかったら、とっくに男たちの慰みものになっていただろう。第1次世界大戦の頃でも現在ほどは女性の自立は進んでいなかっただろうから、クレアも危機感を抱いていたとは思うが、本当にハラハラした。

ハイランドの男たちが連発する下品なジョークには辟易とする。今の男性たちは女性の前でここまで連発することはないのかもしれないが、英語の辞書を使っていていつも驚くのは、ありとあらゆる動詞に卑猥な意味が含まれていることだ。年柄年中そのことばかり考えているとしか思えない。日本の感覚では理解しがたい。

女性が非常に低い地位に甘んじていた時代にあっても、クレアは強い。怪我人や病人を手当し、きちんと役目を果たすからこそ一目置かれている。クレアのこういう強さや賢さに魅かれる女性ファンが多いのではないだろうか。

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