『ラ・シルフィード』ボリショイバレエinシネマ

セミョーン・チュージンが安定感があってすばらしい。以前ルグリ・ガラで見たときはさほど魅力的には見えなかったのだが、ずいぶん素敵になったと思った。

それにしても、Chudinがカタカナで「チュージン」となるとまるで「宇宙人」のウが落ちたようで、外国語にすら聞こえにくい。なぜよりによって彼だけがこんな名前なのか、少々気の毒に思えてしまう。

シルフィード/アナスタシア・スタシュケヴィチ
ジェイムズ/セミョーン・チュージン
占い師マッジ/アンナ・バルコワ
エフィ/クセニア・ジガンシナ
グエン/アルトゥール・ムクルチャン

今回のはインタビューや休憩を含めて111分と短め。ボリショイは何か他の演目と抱き合わせにしたりしない。見ごたえがあれば上演時間など関係ないということらしい。

グエンを演じたアルトゥール・ムクルチャンは笑顔の素敵なイケメンで、チュージンは本当にうまいのだけど、笑顔では全くかなわない。エフィはジェイムズにふられてしまって、気の毒なのだけど、グエンが素敵だったのでそれはそれでよかったと思った。

それにしても、ボリショイバレエ団にはアジア人や黒人がほとんどいない。特殊なキャラクターしか踊らない人が少ないのか。岩田守弘氏が苦労したのもうなずける。今回の『ラ・シルフィード』では占い師マッジ役ですら、若くて美人で全く老婆に見えない。

2010年のボリショイ『くるみ割り人形』Blu-rayに出ていたドロッセルマイヤーなど、目が釘付けになるほどかっこよすぎて、全くドロッセルマイヤーらしくなかった。ドロッセルマイヤーは年配のおじさんがする役だと思っていた先入観がなくなった。

スコットランドが舞台の『ラ・シルフィード』は男性ダンサーがキルト(まるでスカートのようなスコットランドの民族衣装)を着て踊るのが、特徴的だった。女性たちはロマンチックチュチュでふんわりしたスカートだから、紛らわしくはない。ただ、いつもに増して男性の衣装が重そうだった。

この演目は今回初めて見たため、音楽もあまりなじみがなく、ストーリーも初めて知った。まるで天女の羽衣のような白い魔法のベールが出て来るが、その役目はむしろ逆で妖精の魔力を奪い去り、殺してしまう。『ラ・バヤデール』に引き続き残念なラストに呆然とした。

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