高田・キャンベルの『ドン・キホーテ』@ロイヤルバレエ

2019年2月16日高田茜とアレクサンダー・キャンベルAlexander Campbell主演の『ドン・キホーテ』を見た。切符をとった時点ではスティーブン・マクレーSteven McRaeが踊るはずだった。

ところが、マクレーが映画 Cats に出ることになったから、キャンベルと交代するという通知を1月10日に受け取った。ちなみにチケットは11月1日に予約。マクレーは鉄道猫スキンブルシャンクスSkimbleshanks the Railway Catという役らしい。

スキンブルシャンクスの出て来る部分のミュージカルの動画を見てみると、歌がメインでしょぼい動きしかないのだが、これではマクレーを使う意味がわからない。映画『キャッツ』はミュージカルではないのか。それとも、マクレーも歌うのか。ディズニーの映画『くるみ割り人形』に出ていたポルーニンのようなつまらない扱われ方にならないことを強く願う。

だって、なんとも残念な話ではないか。生でマクレーが見られると期待に胸を膨らませていたのに、「キャンベルって誰?」である。

映画館で『バヤデール』を見たときは、全身金ピカのGolden Budda、これはけっこうよかったと思う。そう言えば『白鳥の湖』では王子の友人でパドトロワ踊っていた。「友人」なら許せるが、この人が「バジル」かと思うとどうしても失望感がぬぐえない。どうも主役を張る魅力に欠けるのである。

さて、実際のキャンベルのバジルであるが、やはり前日に見たムンタギロフと比べてしまう。存在感が足りない。存在感という意味では、エスパーダ役のズチェッティZucchettiも小さくてペラッな感じだった。身体の大きさもさることながら、おそらく自信とか貫禄といったものも足りないのである。

それに比べると高田茜は輝いていた。もちろんヌニェスと比べると貫禄は足りないのかもしれない。だが、高田がテクニックでヌニェスに劣るとは全く思わない。あとは長い手足と若さを武器にキャンベルに物足りなさを感じる観客たちを十分魅了していたと思う。

ヌニェスがパパに抱っこされるとき、フレックスにしていた足、高田はバタバタさせていた。こういう部分はダンサー独自の味付けができるのだと思った。

ぼろぼろの服を来た男たち4人組の配役はキャスト表に書かれていないのだが、どうもアクリ瑠嘉と2017年ローザンヌ国際バレエコンクールで3位入賞の中尾太亮が出ていたように思う。

プログラムによると、中尾はAud Jebsen Young Dancers Programmeで他7名のダンサーとともに公演に参加しているという。若い駆け出しのダンサーたちに経験の場を与え、サポートしていこうという趣旨のものらしい。前日の公演を見たときはかなり目を引く役どころで半信半疑だったが、今回前から3列目で確認したところどうも本人だと思われる。

今回ドルシネアを踊ったLara TurkというダンサーもFirst Artistでプログラムに経歴すら載っていないのだが、いい踊りをしていた。Royal Balletのすごいところは名声を築いてしまった人にばかり光を当てるのではなく、どんどん若い人に活躍の場を与えるところだと思う。

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