映画を見る前に原作を読もうと、2018年11月から図書館で借りていたのだが、何度も返却期日を迎えた末、やっと2019年2月7日に読み終わった。
『ミレニアム』シリーズは2005年にスウェーデンで第1部が刊行されて以来、世界的な北欧ミステリ・ブームを巻き起こしたと言われている。しかし、著者スティーグ・ラーセンは第3部まで執筆したものの、第1作の刊行を待たずに心臓発作で急死。もう続編は期待できないと思っていた。
ところが、2015年第4部が本屋の店頭に並び、いったいどこのどういう人が人の作品の続編など執筆したのだろうと思っていた。どうせ本人が書いたものではないのだから、あまり期待はできまいと思い、長らく敬遠していた。
ところが、2018年11月に台北へ行った際、映画館でアメリカ映画『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』の看板を目撃。すでに映画になったのか、これはいよいよ読まないと。…と思った次第である。
映画に関してはスウェーデン版の『ミレニアム三部作』の方がよかった。ノオミ・ラパスは物語の設定よりかなり年が上で、少しおばちゃんぽく「これがリスベット・サランデル?」と始め思ったが、それでもやっぱり彼女の演技はすごかった。
ハリウッド版はリスベット役のルーニー・マーラがとってもかわいくて好感が持てたが、お上品すぎてインパクトに欠ける。きれいごとではだめなのだよ、この役はと思った。
さて、第4部『蜘蛛の巣を払う女』だが、スティーグ・ラーセン本人が書いてないというのが信じられないほど、うまくつながっている。そのことはもうすでにあちこちに書かれているので、今さら私が強調する必要はない。そもそも三部作を読んで時間が経ちすぎているので、つながっているかどうかについて詳細に吟味できてはいない。世界観としては違和感がないという程度だ。
今回の目玉は、そこではない。リスベットの頭の良さ、特にハッキングの技術の高さには毎度羨望の眼なのだが、リスベットの上を行く天才少年が出て来るのだ。発達障害と言われる彼らは、世間に適応できずいろいろたいへんなことも多いと思うが、実は驚嘆すべき才能を持っている。このストーリー展開は鉄板と言ってよく、わくわくしない人の方が珍しいと思う。
原作には思い切り満足したのだが、ここで今一度ハリウッド映画『蜘蛛の巣を払う女』の予告を見てみると、あまり原作に忠実ではなさそうである。リスベットの双子の妹カミラがやたらクローズアップされていて、嫌な感じだ。
そもそも、ハリウッド版はなぜ第2部と第3部を制作せずに第4部を製作することにしたのだろう。うーん。映画を見るのはもうちょっと様子を見てからにしよう。