2019年1月13日に実家へ帰った。母(73歳)が自分の欲求を隠さずに表現するようになっていることに気づいた。今まで自分を縛っていたものが少しずつ緩んで来て、気持ちに正直に行動するようになったのなら、喜ばしいことではないかと思う。是非とも記録しておかなければと思った。
これまでの母は、いっしょに食事に行って何かが余っていたとしても、ほかの人に勧めてもあまり「食べてもいいか」と言って自分で食べてしまうことはなかった。むしろ、自分のおかずを孫や婿などに「もう一つどうえ?」と言って分け与えてしまうような人だった。
それが、今回の食事で娘(小5)がどうしても欲しいと言って定食とは別に頼んだ鶏のから揚げを「誰も食べへんのやったら、食べてもええ?」と言い出した。元々4切あり、2切を娘が食べていたが、まさか母が残りの2切を食べるとは予想していなかったので、面食らったのである。
その日の午後、ロールケーキを2本買って4つずつに切り分け、7人で食べた。ここでも余った1切をシェアしたのは娘と母だった。「おばあちゃんにも半分ちょうだい」という母はけっこうかわいかった。
2018年夏あたりは自分が認知症になっていくことをすごく心配していて病院へも素直に行くといったのだが、2019年夏に1年ぶりに行こうかと父が促すと、行きたくないと言ったそうである。
以前は私が実家に電話をかけると必ず母が出て、めったなことで父に受話器を渡さなかったのだが、最近は母が電話に出てもすぐに父に代わってしまう。おしゃべりの大好きだった母があまり話さなくなってしまった。
5年ほど前から歩くのがとても遅くなり、歩いたほうが認知症の予防になると聞いてから、精力的に取り組んでいた散歩や図書館通いも、最近は寒さのせいもあってめったに行かなくなったらしい。買い物には歩いて行っているらしいし、食事の支度はしているらしいので、全く動いていないわけではないようではあるが。
これまで見てきた変化は、病院通いにしてもおしゃべりや散歩、読書にしても、すべて前していたことを辞める方向、つまり消極的になるという変化だったため、少し心配していた。だが、今回の変化は自分の気持ちに正直に行動するという変化で、自身の欲求を抑制していた縛りを解く変化だったので少しポジティブに思えた。
人は年をとると、こうやって少しずつ自由になっていくのだ。今までいろんなことを我慢していた母にこれからは好きなように生きてほしいと思う。