中国語で《土豆》といえば、「じゃがいも」だが、台湾では「落花生」の意味がある。
その昔、私が初めて《土豆》という中国語を見たとき、思いついたのは落花生だった。ピーナッツがどのように実をつけるかみなさんはご存じだろうか。地上で咲いた花が枯れた後、地面に降りてきて土の中に潜り、土の中で実を結ぶ。
確か小学校の理科の時間に学んだ。落花生をうちで育ててみた記憶がある。そして、この不思議な植物の実のつけ方が名前の由来であることに感心した。
この経験から「土の中にできる豆」はきっと「落花生」にちがいないと思ったのである。
だが、大陸の中国語で《土豆》はなぜか「馬鈴薯」の意味だった。じゃがいもも確かに土の中にできるが、「豆」ではないだろうと思ったものだ。
それが台湾で《土豆》は「落花生」を指すという。大きな袋いっぱいに入った殻付きピーナッツにはでかでかと《土豆》の文字が! すっかりうれしくなってしまった。
中には黒い薄皮の小ぶりのピーナッツがぎっしり入っている。ひとつの殻に4つ入っていることもあり、お得感がある。黒い薄皮には最初驚いたが、食べてみると薄皮もおいしく食べられ、香ばしく、高級品種と言う感じがした。この黒い土豆は友人の友人がくれたのだが、彼女は健康にいい、自然食品にこだわりがあるようで、もう少し詳しく話を聞いておけばよかった。
ちなみに台湾でじゃがいもは何と言うかというと《馬鈴薯 mǎlíngshǔ》と言う。フライドポテトは《薯条 shǔtiáo》。どちらも大陸でも使用される語だ。
「サツマイモ」は台湾で《地瓜 dìguā》と言う。調べてみると、これは方言とある。中国語の辞書には「白薯,山芋,番薯,地瓜,红薯,甘薯」と五つも訳語が出ていた。各地でいろいろな名前で呼ばれているようだ。
中国語でのサツマイモの思い出は、1990年2月の哈爾濱(ハルピン)で食べた《烤红薯 kǎohóngshǔ》焼き芋…ホクホクで湯気の上がる暖かい焼き芋を半分に割ると中は黄金色でものすごくおいしかった。
今回の旅行でも台中と高雄のファミリーマートで《烤地瓜》を購入。息子が特にはまっていた。最低気温が10度を下回らない台湾と零下20度にもなるハルピンとは気候が全く違うのだが、焼き芋のおいしさはどちらも格別だった。