外国人受け入れに際し、重要なのは相手の立場を思いやる気持ち

相撲界が高見山をハワイから受け入れたとき、きっとさまざまな問題が取り沙汰されたことと思う。小錦、曙、武蔵丸と続くハワイ出身の力士が相撲界に定着し、昇進していった。それが今ではモンゴルをはじめ、各国からの外国人力士が幕内力士の3~4割を占める。

ロイヤルバレエには外国人ダンサーが多くおり、英国人を見つける方が難しい。ロイヤルバレエは外国で育った優秀なダンサーを引き抜いて来るタイプのバレエ団だと書かれているのを読んだことがある。

一方、ロシアのバレエ団には外国人が少ないように思う。ロシアではバレエダンサーを育てるという伝統が強く、バレエをする層も厚いのだろう。1996年から2012年までボリショイバレエにいた岩田守弘が多くの苦労をしたことはすでによく知られている。

だが、それも変わりつつある。12月1日に見に行ったマリインスキーバレエには石井久美子、永久メイと2名の日本人ダンサーに加え、キミン・キムという韓国出身のプリンシパルがいる。ワガノワバレエアカデミーで育ったダンサーたちがどんどん外国のバレエ団に引き抜かれていくのを見ているだけでは、バレエ団の存続が危うい。マリインスキーバレエ芸術監督のユーリー・ファテーエフは各国へ講師として招かれると、その先々で将来性のあるダンサーをスカウトしてくるのだという。

いろいろな組織の新陳代謝をよくすることは、悪いことではない。伝統を重んじる分野であれば、なおさら外へフレッシュな人材を求めることが奏功することが多い。

ただ、最初は受け入れ側も飛び込む側も相当の摩擦、苦労があると思うので、受け入れ側が暖かい気持ちで迎えるべきだと思う。結婚で英国のカーライルへ移住した大阪出身の女性のブログ『イギリス毒舌日記』にこんな記事があった。彼女が今の職場に入社するときのことについてのものだ。

先日、私より2年早くに入った25歳のスタッフと話していた時の事。
私が入った時、店長から「チーム一丸となって彼女を育てようと思うから、どうか理解し助けてあげよう。人は理由あって生まれた国から離れなければいけなくなる事もある。チャンスをあげたい。どうか宜しく」と当時いたスタッフは私について言われたのだと、初めて教えてくれた。

なんと心温まる言葉ではないか。こういう店長に受け入れてもらえた彼女はとてもラッキーな人だ。なかなかこうは行かないことが多いからである。

失踪実習生や外国人労働者受け入れについてのニュースが連日新聞をにぎわしている。自分の利益ばかり考えず、こういうときこそ受け入れ側が思いやりを持ってほしい。家族を連れてきてはいけないとか、妊娠してはいけないとか言わずに、彼らとも人間らしい関係を築いていけるといいなと思うのである。

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