金馬獎に八部門でノミネートされていた徐誉庭の《誰先愛上他的》が本当に受賞できるのか、金馬獎発表の翌日にネット検索してみた。結果、八部門のうち最優秀主演女優賞:謝盈萱、最佳原創電影歌曲(最優秀オリジナル映画歌曲賞):李英宏〈峇里島〉、最佳剪辑(最優秀編集賞):雷震卿の三部門が受賞した。
徐誉庭が《Yahoo TV 佼心食堂》で是非とも最佳剪辑が欲しいと言っていた。そのとおりの受賞となったことに、まずは《恭喜》(おめでとう)と言いたい。サントラで〈峇里島〉が受賞したのもうれしい。李英宏のルックスを見ていると、この人は音楽だけで終わらないような気がする。メロディーが頭から離れなくなるという意味らしい《洗脳》という中国語にも徐々に慣れてきた。
最佳女主角の謝盈萱。やはりこの人の力はすごいということだ。演技の厚みがちがう。独身だが、大学生の頃から母親役をよくやっていたらしい。今となっては《花甲男孩轉大人》でStacyをやっていたことの方が不思議に思われる。
邱澤は力及ばずだった。だが、この映画に出るまでは、見た目の良さだけで評価されているのではないか、本当に演技力はあるのかと言われていたようだから、この映画を演技派への第一歩として以後精進して行ってほしい。
授賞式にはアン・リー李安、コンリー鞏俐、アンディー・ラウ劉徳華など、豪華な顔ぶれが集まっており、金鐘獎とはこういう点がちがうのかと改めて感心した。各賞はまんべんなく多様な作品に散っていて、今回に限ってかもしれないが、多くの賞を独占する作品はなかった。
授賞式の動画を見ていて、特に気になったのは《幸福城市》で助演女優賞をとった丁寧という台湾の女優。華奢な女優が多い中、大柄で色気があり、包容力のある感じがよい。いわゆるタバコの似合う女だ。
ウィキペディアによると現在48歳で、8歳4歳1歳と3人の子どもがいると言う。40歳から子どもを産み始め、去年3人目を産んだばかりとは。何度かドラマで見かけた顔だ。《戦神》《白色巨塔》などに出ていたらしい。
だが、授賞式のドレスは今一つだった。ものすごく長いスリットの入った背中全開の金色のドレス。かなり太って見えるし、腕に年齢が出ていたのも残念な感じ。これも、大きな口を開けて笑う裏表のなさとともに彼女のサービス精神のひとつなのだろう。なかなかいないタイプのいい女だと思った。
《幸福城市》11月1日2日に台北に行った際あちこちで上映していた。観なかったことが今になって悔やまれる。