「どうかしたのかい?」「どうしたのだい?」@学習発表会

今年の学習発表会は劇だった。娘(小5)はおばあさんの役だった。最初のセリフは「ゆりちゃんがどうしたのかい?」というもの。2週間前くらいにそのセリフを聞いたとき、「どうしたのだい?」と言わないとおかしいと指摘したにもかかわらず、娘は今日の本番、大勢の観衆の前で大声で「どうしたのかい?」と言った。

本もたくさん読んでいるし、国語力はほかの科目に比べたらずいぶんましな方である。でも、「~だい?」じゃないと変だと言われてもピンと来ないようだ。

疑問詞疑問文 どうしたの+だい?
Yes/No疑問文 どうかしたの+かい?

20年前に中級文法の教科書を作ろうというプロジェクトを立ち上げていた日本語学校があり、その会議の際に出くわしたのがこの文型である。年配者が目下の者に対して使用する言い方だという注記付きで出ていたのだが、こんな項目が学習者に必要なのかと疑問に思った。結局その後20年間この文法を教える機会には恵まれなかった。

それでも、当時の私は疑問詞疑問文には「だい」が付き、Yes/No疑問文には「かい」が付くと書いてあったところに多いに感心した記憶がある。文を作ってみると確かにそのとおりになるのだが、「だい」と「かい」にそんな文法規則があるとは言われるまで気づかなかったからである。

その後、何度かこの規則に違反する例を見つけた記憶がある。若い話者がこの文法項目をうまく使いこなせなくなってきているように感じていた。そして、とどめの今日の娘のセリフである。

もともとの脚本に書かれていたおばあさんのセリフは「ゆりちゃんがどうしたかね」というものだった。それを言いにくいと言って、娘自身が言いやすいように変えたのだという。先生も「おかしい」とは指摘しなかったようだ。

同じ学年の子たちの前では、幾度もあのセリフを言ったにちがいない…あぁ、こうやって「だい/かい」は摩滅していくのだ。

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