「言語的弱者」であることを痛感:台北での失敗談

日本にいると自分はけっこう中国語ができる気でいたが、実際に台北に行ってみると、ネイティブの話すスピードについて行けず、自分が「言語的弱者」であることを強く痛感した。情報を理解するスピードが遅い。当然日本語の場合のように素早くは反応できない。気づいたときにはもう遅いことがよくある。

ドラマやバラエティー番組を見ている分には中国語の字幕がついていて、それに頼っている部分が大きい。しかも、こちらが反応する必要がない。台湾のことは知ったような気になっているが、実は台湾は外国で、交通システムにしても、映画館の料金体系にしても私にはわかっていないことが多々あるのである。

どうも失敗したのではないかと思う例を以下に3つ挙げる。実際のところそれほどの大損ではないのだが、日本でならこのような手抜かりは絶対しない私にとって非常に屈辱的だったので挙げておく。


桃園機場で市内へ向かう捷運に乗るのに、悠遊卡(台北中心の交通系電子マネーカード)を買おうと思っていた。捷運の駅の方へ向かう通路の途中にカウンターがあり、観光客向けにお得なセット切符を売っているようだった。そこへ吸い寄せられてしまった私は、空港から市内への捷運160元×2(往復)+300元分の悠遊卡を590元出して買ってしまった。

もともと160×2+300=620元でたった30元しか安くない。事前にあれほど調べていたのに、なぜこんなものを買ってしまったのか後悔至極。電子カードで捷運を利用するとすべて2割引と聞いていたのに、もしかするとずいぶん損をしたのではないかと懐疑的になってしまった。

しかも「悠遊卡」だと言われてもらったのをよくよく見ると、「一卡通」(高雄中心の交通系電子マネーカード)と書いてあり、特に使い勝手に差はないらしいのだが、騙されたようでちょっと気分が悪いのだった。

2
士林夜市に行ったとき、向いた果物を売っている露店があり、マンゴーを買おうとしたところ、100gなどと量をはっきり告げなかったために、大量に買わされてしまった。金銭感覚が鈍くて330元と言われても即座に高いと言えなかったのが大きな敗因だ。あとで計算すると1250円で、黒門市場か錦市場かと思うような高さだった。観光客向けにぼったくり商法するのはどこもいっしょか~と量を指定しなかった我が身を呪った。それでも、マンゴーはおいしく、次の日の朝ごはんにも食べた。

3
11月2日《誰先愛上他》を見終わったあと、あまりの空腹に鍋を食べに入った。外側のフードコートゾーンで食べれば130元ほどのセットがあるのに、店内で食べると288元のコースになってしまうという不思議なシステムだった。空腹だった私はしっかり食べたかったので、288元のコースにした。出てきた鍋には冷凍のとうもろこしやカボチャ、フリーズドライの餃子に麺がついていて、残念ながらちょっといただけない代物だった。チェーン店というのはこういうものを使うのだね、あーあ残念と思った。でもまあ、それはよしとしよう。私の最大の手抜かりは、「映画の半券を見せれば昼ご飯12%off」のポスターを食べ終わってから見たことだ。

こんなに日本とよく似た異国はないと思うほどの台湾で、中国語で映画を見る私でも実際に行ってみるとかなりの言語的弱者だということがよくわかった。日本にずっといて留学生の日本語の不出来を嘆いてきたが、実際に私も同じ体験をして初めて身に染みた部分も多かった。日本語教師もたまには外国人の立場になってみないとわからないことがあると知った台湾の旅だった。

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