「的・得・地」の区別があいまいな台湾国語:《命中注定我愛你》第9話から

Youtubeにしつこくあがってくる動画:2008年の台湾ドラマ《命中注定我愛你》『あの頃私たちが大泣きしたあのシーン』というようなタイトルのついたダイジェスト動画をついついクリックしてしまった。

あまりのなつかしさにちょっとよかったシーンを見直してみた。阮經天のテンションが異常に高い。この人は《我在墾丁*天氣晴》のときみたいに無口な役の方が合っているように思う。

…などと考えていると、あっという間に2時間経っていた。あ~、ほかにいろいろできたぞ2時間もあったら…と後悔…。

でも、10分ほどのシーンで前から気になっていた「的・地・得」の区別があいまいな字幕を多数発見した。

その前に「的・地・得」の使い分けについておさらいしておく。

本来「」は連体修飾のときに用いる助辞だ。
・我書(わたしの本)
・很厚書(厚い本)
・我買書(私が買った本)

連用修飾の場合は「」を用いる。
・順利完成了任務(順調に任務を果たした)
・軽軽吻她了(軽く彼女にキスをした)

形容詞や動詞の後に結果や程度を表す補語がつく場合は「」を用いる。
・她跑很快(彼女は走るのが速い)
・他写字写很漂亮(かれは字を書くのがうまい)

第9話の終わりの方で紀存希と陳欣怡は宝飾品の慈善オークションに出かける。陳欣怡は願い事を書いて入れておくと実現するという小さい箱を出品する。紀存希がDylanと激しい入札争いを繰り広げた末、五百万元で競り落とす。紀存希と陳欣怡がお互いに惹かれていくことを自覚し始める当たりの話である。

連用修飾「地」を使うべきなのに、「的」と書かれていた例

〔例1〕
道格拉斯:我想要是有人買個盒子給我五百萬,我也會高興跑出去。
(ダグラス:もし誰かが私のために五百万元払って箱を買ってくれたら、私もうれしくて走って出ていってしまうと思う。)

これはオークション(拍賣會)の司会がつぶやく独り言だ。「高興(うれしい)」が「跑出去(走って出ていく)」を連用修飾しているので、「」を使うべきだと思う。

〔例2〕
紀存希:妳先好好珍惜妳自己吧。
(まず自分のことをよ~く大事にしろよ。)

「好好(よく・十分に)」が「珍惜(大事にする)」を連用修飾しているので「」と書くべきである。

結果補語、程度補語なので「得」と書くべきところが「的」になっている例

〔例3〕
陳欣怡:不管我捐什麼破銅爛鐵,或是又在大庭廣衆前面出醜,根本就沒有人會在乎,可是我遇到了你,一切就變不一樣了。
(もし私が役に立ちそうもないひどいものを寄付したり大勢の人の前で恥をかいたりしても、だれも全く気にとめなかった。だけど、あなたに会ってからはすべてが変わってしまった。)

どう変わったかというと「不一様」全くちがうものに変わった。結果補語なので「得」と書くべきである。

〔例4〕
陳欣怡:他們說我影印快,我就每天都幫人家影印。
(コピーをとるのが早いねと言われたら、私は毎日コピーをしてあげた。)
「コピーをとるのが速い」という程度補語なので「得」と書くべき。

しかし、みんながみんな「的」になっているかというとそうでもなく、〔例5〕のように「得」を使っているものもあった。

〔例5〕
陳欣怡:怕自己變好貪心
(自分が欲張りになるのが怖い)

大陸では「的・地・得」の使い分けがされているのに、台湾でだけこの区別が失われつつあるのはなぜなのだろう。

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