「学び直し時代」と『劣化するオッサン社会の処方箋』

本日2018年10月13日(土)付朝日新聞朝刊の書評欄に載っていた山口周(2018)『劣化するオッサン社会の処方箋―なぜ一流は三流に牛耳られるのか―』(光文社新書)が気になる。

まず、オッサンの定義が絶品だ。ここで言うオッサンは「年配の男性」を指すのではない。

古い価値観に凝り固まり
過去の成功体験に固執し
階層序列の意識が強く
よそ者や異質なものに不寛容

どこの組織にも困ったオッサンがいる。そんなオッサンに牛耳られ組織の劣化が露呈した事件は枚挙に暇がない。日大アメフト部、いじめ調査結果を隠蔽する教育委員会、大手メーカーの偽装・粉飾・改竄などである。

では、なぜ人はオッサン化するのだろうか。それは、情報のアップデートを怠り、学ぶことを辞めてしまうからである。

変化のゆっくりした時代には子どもから大人になる時期にのみ学習し、知識や経験を身に付ければ、それで一生こと足りた。しかし、変化が激しい現代社会では、大人であってもどんどん情報をアップデートし、新しいことに挑戦していく必要がある。何度でも学び直し、成長し続けようという姿勢がすべての人に求められている。

…という話を、実は今日、某私立中学校の入試説明会で聞いた。この「学び直し時代」という概念は立教大学の中原淳という人の主張だという。

これを聞いて、私の頭に浮かんできたのは、これまで家事育児に追われ、新しい情報の収集や挑戦を怠っていた自身への反省である。時事的な話題や最近の流行にもっと敏感になっておくべきだとか、新しい授業のやり方や最新技術の導入にもっと積極的に取り組むべきだとか…。

もう若くはないのであればなおさら、自分自身がオッサン化していないか、常に危機感を持って自問すべきだ。

しかし、もしあなたの属する組織が劣化したオッサン社会になっているなら、身を守る術も必要である。

前出の山口(2018)には劣化した不条理な組織社会から抜け出すための方法として次の二つが挙げられている。

1 おかしいと思ったときに「意見」を言う。
2 状況が変わらない場合はそこから「退出」する。

あれ? これってイジメの解決方法と同じでは?

これまで何らかの組織に「どっぷり」という状態を私自身が本能的に避けてきたのは、無意識にオッサンによる組織の劣化に巻き込まれたくないと思ってのことだったのかと理解した。

日本社会のあちこちにはびこる「組織の劣化」に嫌気が差したら、自分が悪いなどと思っていないで、どこかへ「退出」しよう。

目下、私にとって最も深刻な「組織の劣化」は、自分のことはすべて人任せのくせに、横柄な口の利き方をするようになってきた我が子たちとの関わり方。「意見」を伝えて改革を促すか「退出」という名の旅行(家出?)に出るか。

オッサン化はまさしく誰にでも起こりうるのである。

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