1994年香港映画『恋する惑星』(原題:重慶森林, Chungking Express)

夫がずいぶん前にレンタルビデオ屋で売られていたDVDを買っていたらしい。ちょっと見てみようと夫が言うので、うちのテレビでいっしょに観ることにした。すでにあれから24年も経ってしまっている。トニーレオン梁朝偉も金城武もフェイウォン王菲も若…。

一気に気分は90年代の香港へ。画面を見ているだけで香港のあの肌にネトつく湿度の高さが思い出される。映画館は真冬のような冷房なのだが。

重慶マンションとインド人たちの胡散臭い感じ。クリストファー・ドイルの乗り物酔いしそうなカメラワーク。金城武のけだるいしゃべり方。フェイウォン王菲のすらりと伸びた手足とベリーショートの髪。そうそう、こういう映画だった。

ウォンカーウァイ王家衛の映画は2004年の『2046』まで欠かさず見た。一番好きなのは2000年の『花様年華』。マギー・チャン張曼玉のチャイナドレスが非常に美しく、あこがれた。

広東語の響きは独特だ。意味がわからなくても聞き入ってしまう。台湾の閩南語とはまたちがう。金城武はなぜ広東語までできるのだろう。片言だけ?というわけでもなさそうである。

90年代に香港へ来たとき、知り合った台湾人の女の子に聞いたことがある。台湾人は広東語を聞いたら意味がだいたいわかるらしい。そして、香港に来て半年もすると話せるようになるらしい。閩南語の知識があるからなのだろうか。

いや、フェイウォン王菲は北京出身だが、広東語を話している。中国語のネイティブスピーカーが真剣になれば、けっこう習得できるものなのかもしれない。

私は以前半年くらい真剣に学んだのだが、広東語の発音が北京語と混ざってごちゃごちゃになってしまい、結局身につかなかった。

そういえば、2013年に家族で香港へ旅行へ行ったとき、歩き疲れて泣きじゃくる6歳の娘に、通りがかった地元のおばあさんが何やら説教をしてくれたことがあった。娘はわからないながらも、涙目でおばあさんを見つめていた。

たぶんあのおばあさんは言葉が通じたと思って去って行ったのだと思うが、実は誰一人内容を理解している人間はいなかった。でも、不思議な響きの広東語に家族みんなで耳を傾けた。

見ず知らずの子どもに長い説教の出来るおばあさん。なかなか日本では見かけなくなったと思う今日この頃である。

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