2016年台湾猟奇映画《樓下的房客》The Tenants Downstairs

ある日の深夜0時ごろのこと、《前男友不是人》に出ていた台湾の女優、李杏のことを調べていたら《樓下的房客》という2016年の台湾映画の予告編が見たくなった。動画を探していると、予告編ではなく、なんと本編が始まってしまった。

あぁ、そんなつもりじゃなかったのに。

でも、つい引き込まれて見てしまった。こういう猟奇的な映画を見るのは本当に久しぶりだったので、肝をつぶしそうになった。出産前はけっこう見ていたような気もするが。

何と言っても、ストーリーに救いがない。最後の方はわけのわからない方向に話が行く。中国語の字幕すらついていなかったので、私が十分理解できていなかっただけなのかもしれないが。

原作は九把刀 Giddens Ko。いったい何を考えてんねん! しかし、これが彼の内面に渦巻く世界なのだろう。恋愛映画《那些年,我們一起追的女孩》『あの頃、君を追いかけた』ですら、その片鱗を示していた。あんな素敵なラブストーリーなのに、年齢制限付きにしてしまう、恐るべき九把刀的世界!

私が一番気に入ったのは、邵雨薇Ivy Shaoが微笑みを浮かべながら、残忍な遊びに興じているところ。無表情で透明感のある若く美しい娘が残酷な様子は坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』にも通じて強烈。白いろうそくで埋め尽くされたバスルームが美しい。

だが、最も注目すべきは李杏だ。よくこの役を引き受けた。女優ってこういう仕事をしてのし上がっていくのだ。潔くてとてもよいと思う。《前男友不是人》の未婚の母役もよかったが、こちらは非常にきれいでそそる顔に撮れている。

ボストン交響楽団の音楽もいい。BGMがパンクロックとかだったら、きっと途中で見るのを辞めていたと思う。とても美しいクラシックが鳴っているからこそ、邵雨薇の笑顔に戦慄するのだ。

古い風格のあるマンションもよい。ああいうどっしりとした趣のある建物に住みたいものだ。実際にあったら是非見に行きたいと思ったが、すべてセットを作って撮影したという。なかなかあんな建物はないよね。

しかし、一番の驚きは年齢制限満開のこういう映画がポチっとクリックしただけで始まってよいのかという点。子どもはクリックできないようになっているんだろうね。心配だ~。

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