「餃子」はなぜ「ギョーザ」? 《餃子啊!》「ギョーザだよ」と言ったのでは?

中国語を学習し始めて「餃子」を《饺子 jiǎozi》(片仮名にするなら「ジァオズ」)と発音すると知ったとき、首をかしげたのは私だけではないだろう。

「なんでギョーザとちゃうん?」

「餃子」と書いて「ギョーザ」と読むのは、日本語の漢字音の常識から考えるとおかしい。
では、唐宋音なのかというと、そうでもない。唐宋音なら「扇子(せんす)」「緞子どんす)」のように「子」の漢字は「ス」と読んでいるからだ。どうももっとあとの時代になって入ってきた語であると推測できる。

有力な説は山東方言の「ギャオジー」が訛ったものだというものだ。

人力検索はてな
なころぐ
中央日報日本語版
などに詳しい。

だが、この説明だと最後の音がなぜ「ザ」になるのか、さらに厳密に言うと最後の母音がなぜ /a/ になるのかが説明されていない。

そこで、出てきているのが、韓国語経由説だ。韓国語だと「子」の音は「ジャ」となる。
韓国の‘交子(ギョジャ)’(交子床=長方形の食膳)の音がそのまま入ってきたという説である。

だが、もしこの説が真実だとすると、日本語では「ギョージャ」と発音することになったと思われる。しかし、実際は「ギョーザ」なのである。

そこで、私は文末につく中国語の語気詞《啊 a》がついたまま、日本語に入ったという独自の説を提唱したい。

中国で初めて餃子を食べた日本人がそばにいた中国人に「これは何という食べ物か」と尋ねる。

すると、その中国人は《餃子啊 jiǎozi a》(餃子だよ)と答える。

それを聞いた初めて餃子を食べた日本人は「これは『ギョーザ』という食べ物なのだ」と納得し、日本へ「ギョーザ」ということばを伝えた、というわけである。

我ながら、なかなか説得力のある説だと思うのだが、いかがだろうか。


オーストラリアで初めて「カンガルー」を見たトーマス・クック船長が「あれは何という動物か」と尋ねた。尋ねられた現地人はアボリジニの言葉で「カンガルー(私は知らない)」と答えた。そして、オーストラリアにいる腹に袋を持つ動物を英語で「カンガルー」と呼ぶようになった。

という話は実はでっち上げで、gangurruは現地語で「飛び跳ねるもの」という意味だったらしい。by『言葉の由来を見てみよう―ワード・オリジン


今となっては「ギョーザ」ということばが伝わる瞬間を見た人はいないわけだから、このくらいの想像は許されるのではないかと思う。

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