最近の台湾映画、何かいいのないかなぁと探していて、《血觀音》The Bold, the Corrupt and the Beautiful という2017年の台湾映画がヒットした。
映画はまだ見ていないのだが、予告編と監督や出演者のインタビュー番組を見て、とっても見たくなってしまった。
そこで気になったのが、《心機女》という中国語である。
『小学館中日辞典』によると
xīnjī《心機》「苦心;思案;念入りなはかりごと.策略」
つまり、《心機女》とは「計算高い女」ということになる。
《她心機很重》「彼女はとても計算高い」というように使うこともできる。
なぜか一番に思い浮かんだのは『ルパン三世』の峰不二子だった。
動物に例えるなら、猫か狐あたりになろうか。
「腹黒い」とも言えなくもないが、「腹黒」はどちらかというと、野心家の男性が思い浮かぶ。狐ではなく、狸親父。
だが、この「腹黒」という日本語がすでに中国語に入っているらしく、2017年11月13日放送《星鮮話》というバラエティー番組に次のような副題がついていた。
女人心機《血觀音》 必修腹黑學
この番組の中で柯佳嬿Alice Kuが「‘心機女’得意だよね」のようなことを言われていて、思い出した。
2011年の《小資女孩向前衝》のときはとっても一途で純朴だった「沈杏仁」が、2016年の《必娶女人》の「蔡環真」では、かなりの悪女になっていて驚いたのだった。つけぼくろまでして。
でも、メイキングでは監督にだいぶダメ出しされていた。善人が「悪女」を演じるのは相当難しかったようである。だが、柯佳嬿はこの役で第51回金鐘獎主演女優賞に輝いた。
ただ、その「悪女」ぶりも前半のみで、後半はそうでもなかった印象がある。ドラマの最初では個性的な女性が主人公の男性と付き合い始めると、往々にして「いい人」に変わってしまうのである。
私個人としては癖のある役はけっこう好きだ。思いっきり毒を出してくれた方が話がおもしろくなると思う。
バレエの『眠れる森の美女』のカラボスや『白鳥の湖』の黒鳥オディールは是非とも強烈な個性で邪悪さや妖艶さを出してほしい。
そういう闇の顔を持つ役もできる役者こそ、物語を真実味のあるものにし、深みを出すのに必要だと思うのである。