♬走る~コケる~血が出る~♪

今日の午後、サンプラザ中野が西宮ガーデンズへ新しいミニアルバム『Runner』の宣伝に来たらしい。息子(中1)が一人で見に行き、生であの『Runner』を聞いてきたと言う。

この『runner』、我が家では子どもたちが歌詞まで一生懸命覚えて歌えるようになった数少ない曲である。なぜそういうことになったかと言うと…

息子(当時小3)はある日熱を出して、小学校を休んでいた。10時ごろになって朝ご飯を食べると言って食べ始めたのだが、途中で疲れてしまい、食卓の椅子二つを連ねて横になっていた。そして、うなされるように何かを口ずさみ始めた。始めは何を言っているのかわからなかったが、よくよく聞いてみると、

♬ 走る~コケる~血が~出る~ ♪

ずーっとこれをリフレインしているのだ。

「ちょっと、なんであんたそんな歌知ってんの? おもしろいやん、何それ。」

と、私は大笑い。でも、何の歌だったか思い出せない。とりあえず元歌は

「走る~走る~俺た~ち」

だと教え、本物を聞かせようとYouTubeを検索した。

すると、出るわ出るわ、替え歌の数々。すっかり感心してしまった。

学校で何人もの友達がずーっと歌っているから覚えてしまったのだと言う。

そのころうちはテレビをほとんど見ていなかったから、『本能寺の変』や『PPAP』などを友達からの口伝で覚えてくるのには、ひたすら感服したものだ。

その後、元歌の歌詞をプリントアウトし、図書館で昔のCDまで借りてきてやった。子どもたちがこんなに一生懸命歌を覚えたのは、盆踊りで踊り狂うために覚えた春日八郎の『お富さん』以来のことだった。

それはさておき、今回問題にしたいのは、この歌詞の中の「コケる」という語である。

関西では「コケる」が非常に高頻度で使用されており、首都圏で使用される「転ぶ」に全く駆逐される気配がない。

昨日記した「うしなう/なくす」「こしらえる/作る」「ねぶる/なめる」といった語のペアとは大違いである。

ここにはいったいどういう差があるのだろうか。

「コケる」にはコケても笑いをとろうとする滑稽さが含意されており、血を流しながらも照れ笑いする姿が浮かぶ。それに対し、「転ぶ」は本人の不器用さを示すのみで笑えない何か、いやむしろ笑ってはいけない雰囲気が漂っているのが、関西になじまないのではないだろうか。

この替え歌は関西では断固として

♬ 走る~コケる~ ♪

でないといけないのだ。

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