2017年5月息子の誕生日プレゼントに電子辞書を買った。塾でことばの意味を調べるのに、だれも紙の辞書など持って来ていないというので、いずれ必要になるかと思い、買い与えることにした。SHARPのBrainの高校生モデルにした。
驚いたことに最近の電子辞書は辞書以外に非常に多くのコンテンツが入っている。音声付きの英語教材が入っていたり、漢字や英語のクイズが入っていたりする。
我が家には、ゲームらしいものがないため、購入当初子どもたち(小4と小6)は夢中になっていろいろなコンテンツを試していた。とりわけ成績が伸びて熱中したのは部首クイズだった。漢字を書くクイズはペンで手書き入力するので、紙に書くのに比べて液晶画面の感度が悪く成績が伸びないのだという。
小6の息子より小4の娘ののめり込み方はすごかった。何週間かすると、部首クイズでは一番上のランクまで行ったと言っていた。だが、ほどなく部首クイズ熱も冷めて行ったのだった。
今日は久しぶりに二人が部首の問題を口頭で出題し合っていた。
下の子:「冬」の部首は?
上の子:そんなん簡単やしな。「にすい」
これは私も以前聞いて知っていた。
上の子:「巻」の部首は?
下の子:わからん。
上の子:「わりふ」
上の子:「就職」の「就」の部首は?
母:右側の…何やろ…なんて言うかわからん。
上の子:ヒントは「ナニナニのナニナニナニ」
下の子:あ、わかった。「だいのまがりあし」
マニアックな小学生…
微笑ましく思いながら見守っていた私は、はたと考えた。
この知識はいったい何の役に立つのか。
昔は読めない漢字があったら、漢和辞書の部首索引で漢字を探さなくてはならなかった。
「聞」の部首が「もんがまえ」ではなく「みみ」である可能性があると知っていると、多少早く引けるかもしれない。
それでも、その部首をどう呼ぶかはあまり重要ではなかった。どの部分がその漢字の部首か予想できればそれでよい。
今、子どもが読めない漢字に遭遇したとき、漢和辞典を引くだろうか。電子辞書かタブレットなどに手書き入力して検索することになるのではないだろうか。
私自身が部首引きに慣れたのは、漢和辞典ではなく、中国語辞典でだった。大量の読めない漢字にピンインを振るため、部首引きを使いまくった。慣れてくるとだんだん早くはなるのだが、それにしても面倒な作業だったと思い出される。
日本語の漢字の読み方は音読みか訓読みのどちらかがわかることもあるし、読み方を類推して当たることもあった。
だが、中国語の読みは発音の種類も多いし、声調もあるし、とても類推では当たらない。真面目に部首索引を使うしかなかったのだ。
最近の日本語学習者が漢字の読み方がわからないときどうしているかというと、スマホのアプリで本のページを写真に撮って、読み方を知りたい部分を選択すると、読みが出てくるらしい。
時代も変わったものである。
部首引きに費やした時間が全く無駄だったとは思わないが、今のような便利な方法があればきっと助かっただろうなあと思う。