男子たちは何歳ごろ自称詞をボクからオレに変えるのか

オレオレ詐欺というのがあったが、世の男性たちはいつから自称詞「オレ」を使い始めるのだろうか。

以前、大学のゼミでこの問題が話題になったとき、ある男子学生が「ボク」から「オレ」に切り替えたとバレるのが嫌で、中学2,3年の2年ぐらい自称詞を使わずに過ごしたという話を聞いた。

うちの息子はいったいいつ「ボク」から「オレ」になるのかしら、と楽しみにしていたら、それはあまりにも早くあっけなく訪れた。なんと保育園の年中のときである。

息子は年少から年中に上がるときに保育園を変わった。給食が手作りで独特の保育方針でいいらしいと聞いて、駅とは逆方向で少し遠いが私立の保育園に行くことにしたのだ。

するとそこに両親に憲法を習っている活発な男の子がいた。その子は早くも「オレ」と言っていたのである。おそらく「ボク」を経由することなく、「オレ」と言い始めたに違いない。

そして、息子もあっという間に「オレ」と言うようになってしまった。

一方で、自分の名前を自称詞とする男子たちもかなりいる。息子の学年では、最も背の高い大柄な男子二人が自分の名前を自称詞としていて、母たちの間で話題になっていた。もちろん体の大きさは自称詞と関係はない。だが、子どもっぽい印象があることは否めない。ちなみに甥っ子は少なくとも中学生ぐらいまで自分の名前を自称詞として使用していた。小6で声変わりしていたので、野太い声になってもそれはしばらく続いていたと記憶している。最近は自称詞を聞かないので、前述の男子学生のように沈黙期に入っているのかもしれない。

思えば、息子は気が付くと「ボク」と言っていた。自分の名前を自称詞として使用したのを聞いたことがない。どういう理由で自分のことを「ボク」と言い出すのかわからない。

娘は、ひたすら自分の名前の一部を自称詞として使用している。「ちゃん」をつけたりはしていない。親が普段呼んでいるとおりに本人も自分のことを呼んでいる。娘は下の子だし、家族中から名前で呼ばれるわけで、それをそのまま自称詞として採用したのかもしれない。

私自身は小学生のとき、うちでは自分のことを「おねえちゃん」と言っていた記憶がある。三人兄弟の一番上で、下に弟妹がいたからである。父や母も「おねえちゃん」と呼んでいた。しかし、外では「わたし」と言っており、使い分けていたように思う。

そういえば、下の子が生まれてしばらくしてから、家族の中では息子のことを「おにいちゃん」と呼んでいるが、息子は自分のことを「おにいちゃん」と言うことはない。

家族内で私は自分のことを「おかあちゃん」、夫は「おとうちゃん」と言っている。

実家に帰っても、自分のことを私が「おかあちゃん」と言ってしまい、母が誰を指しているのかわからず、混乱したことがある。

夫は職場で話しているときに「おとっ」と自分のことを「おとうちゃん」と言いそうになったと言っていた。

自称詞ではないが、小さい子を育てているとき、非常に疲れると職場であっても「そこにナイナイしといて」と言ってしまったりする。私も言ってしまったことがあるが、夫も職場で女性職員がそういうのを聞いたことがあるらしい。

自称詞にせよ、赤ちゃんことばにせよ、疲れてくると切り換えがうまくいかないこともあるということである。

それにしても、子どもの自称詞の選択は、何がきっかけになっているのかわからないが、非常に興味深い。

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