近所のスタバにいる。
今まさに私の隣でフランス語の授業が行われている。最近こういうカフェで授業する人が増えている。日曜日の午前中はとりわけ多い。たいてい英語の授業なのだが、フランス語は珍しい。
以前、ここでタイ語の授業を受けている60代ぐらいの日本人男性がいた。先生はほっそりとした若い女性で、蚊の鳴くような声で話していた。どっちが先生かわからないぐらい年配のその男性は、作文してきたらしいノートを見ながらなにやら力説していて、大したもんだと思った記憶がある。
今日は男性のフランス人らしき先生と日本人の女性。
久しぶりにフランス語を聞くと、長い間使っていなかった頭の引き出しを整理していくような感覚に陥る。懐かしい。
先生は私の方を向いて話しているから、フランス語がよく聞こえてくる。日本人の女性が話している内容は全く聞こえて来ないが、曜日や日付の話をしていることがわかる。どうも対等なやり取りにはなっていない様子。生徒さんは初級のようだ。生徒さんの発言が少ないからか、本日二回目の授業で同じことを繰り返しているからか、先生はちょっとつまらなさそう。
教師と生徒が個人的なつながりで知り合い、行われる授業なのかと思っていたが、どうもこれは違うようだ。絵の描かれたプリント教材が何枚か机の上にある。しかもカラーコピー。二人目の生徒さん。授業を運営管理している団体があるんじゃないか…などと想像しながら、授業に耳を傾ける。
先生がリピートする。
Qu’est ce que vous faites, aujourd’hui?
(今日は何をしますか。)envoyer une lettre
(手紙を送る)
長く使っていなくても、ある程度のレベルまで達した言語は聞けばわかる。口からすらすらとは出てこないが。
曜日を尋ねる言い方と日付を尋ねる言い方が私たちにとって紛らわしいのは英語も仏語も同じなのだが、そういえば、仏語にはもう一つおもしろいことがある。
Quelle date sommes-nous?
(今日は何日ですか。)
Nous sommes le 18 mars 2018.
(今日は2018年3月18日です。)
直訳すると「我々は何日にいるのか」「我々は2018年3月18日にいる」
英語だと非人称のitを使って日付を表す。
What’s the date today?
(今日は何月何日ですか。)It’s March 18th 2018.
(2018年3月18日です。)
仏語では日付や曜日がなぜ「私たちは~」なのか、興味深かった。天気や時刻は英語と同様、非人称のilを使用するのに。
日本語のように「今日」を使って言うこともできるらしい。
Quel date est-ce aujourd’hui?
「今日は何日ですか」
初めて知った。あまり会話的ではないのだそうだ。
しかし、カフェで仏語の初級の授業をマンツーマンで受けて上達するだろうか。
ネイティブスピーカーと話すなら、ある程度のレベルに達してフリートークできるようになってからの方がよくはないだろうか。そんなことを言っていたら、いつまでも上達しないのかもしれないが…
彼女らがこの授業にいくら払っているのか、興味を持ってしまった。